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医療系の商標権侵害(2)

2025.07.03
医療系の商標権侵害(2)

前回のブログにアップさせて頂きました、「スターデンタル」の商標をめぐって争われた裁判ですが、お察しの通り、原告の九段下スターデンタルクリニックが勝訴しました。

「赤坂」は地名であり、「クリニック」は、歯科医業など医業のサービス分野においては一般的に使用されている名称です。

そのため、商標が類似するか否かの判断において、「赤坂」や「クリニック」という部分はあまり重要な部分ではないと判断されました。

その結果、「スターデンタル」と「赤坂スターデンタルクリニック」は類似と判断され、原告である九段下スターデンタルクリニックが勝訴したのです。

「赤坂スターデンタルクリニック」の商標を使用していた被告は、東京高等裁判所に控訴しましたが、控訴審においても基本的に裁判所の判断は変わらず、控訴人(原審被告)敗訴という結論になりました。

敗訴した赤坂スターデンタルクリニックは、まさか「スターデンタル」というとてもシンプルでよく汎用されるワードを含んだ名称を付けた為に提訴され、しかも敗訴するとは想像もしていなかったと思います。

今回の事例での重要なポイントは、ある商標を商標登録すると、その商標について商標権という権利が発生するという事です。

商標権は、病院・クリニック様の場合は、通常、「医業」などのサービス分野で商標登録をしますので、商標登録した商標を、医業の分野で独占的に使用することができる権利となります。
医業の分野で商標を独占使用できるということは、他の病院・クリニックなどに同じような商標を使わせないことができます。ここで、”他の医院などに同じような商標を使わせない”とは、意図的にマネされて同じような名称を使われた場合も、偶然の一致で知らずに同じような名称を使われた場合のいずれも含みますので、基本的には、これらいずれの場合でも当該登録商標と同じような商標の使用の中止を求めることができます。さらに、そのことによって被った損害の賠償を請求することもできます。

逆に、商標登録を怠ってしまった場合は、正反対の大きなリスクを負う事になります。また、以前のコラムにも記載しましたが、医業・美容業の方々は、今後も、SNSやホームページを更に活用される事になろうかと思います。

そうなるとこのような事例が更に増える事が予想されます。仮に病院・クリニックの評価が高まり、更に知名度がアップした場合、皮肉にもその名称やロゴがトラブルになる可能性も高まるという訳です。また、今回のスターなどの汎用されるワードが含まれる名称を使用する場合は、なお更注意が必要でしょう。

裁判になりますと多額な費用や労力が必要となります。そうならないためにも、早めの対策を行う事をお薦めします。是非、私ども奈良特許事務所にお手伝いをさせて下さい。

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